恐ろしく強い力でベッドに押し倒された。続いて荒々しい手つきで胸のあわせを開かれ、桜色のそれを節くれだった指で弾き出す。その行為に相手を気遣う気持ちなどない。あわせが開かれた弾みで買ったばかりの白粉が弾け飛んだが、余裕がないらしい和泉屋は気付いていないようだった。
このような荒々しい愛撫は何度も経験している。金で買った陰間を抱くときのそれ。まるであの頃に戻ったような感覚に陥る。
「っ……」
意地でも声はあげるまい。歯を食いしばって耐える。
陰間を辞める直前から春哉は感じない身体になっていたが、久しぶりの愛撫にはさすがにこたえる。
陰間としてさんざん抱かれてきたこの身体は、やはりこの感覚を忘れてはいなかった。
何度も何度も胸だけに執拗な愛撫が加えられる。親指で擦られるたびに強い刺激が脳天を突き抜ける。
「くッ……あッ」
だから何でこんなに感じるんだ?久しぶりだからか?それともこの男の技が熟練しているから?確かにどれも当てはまる。でも……。
腰のあわせがおもむろに開かれた。その指は襦袢の裾を割って、直接春哉のものに触れてくる。冷たい指が熱を帯びた春哉自身に巻きつくと、たまらず大きな声を上げてしまった。
その様子をじっと眺めていた和泉屋は愉しげに哂(わら)った。
「そうそう、その声だよ。あの頃もいつも愛らしく啼いていたね。さ、もっと聞かせておくれ」
その指が上下に動くようになると春哉の腰は自然に動いた。幼い頃にさんざん仕込まれた身体は人より敏感で、上り詰めるのも早い。
「んっ…んあっ…」
頭では理解できる。でも身体はついていかない。いつだってそうだった。昔から好きでもない客に喘がされて、気付けば枕元に金が置いてある。そのたびに自分を嫌悪する。
「もっとッ……あっ、もっ、だめ……っく」
自分の口から出たとは思えない言葉に呆然となる暇もなく、かたく瞑った目の前が点滅する。その後にくるであろう恍惚感に溺れるため、一層腰を振ろうとしたとき……
「一人で勝手にイこうとするなんて、酷いですねェ、春哉さんは」
「くぅっ……ふぁ……」
付け根を目一杯握られる。たちまち何ともいえない圧迫感が体中を駆け抜け、たまらずかたく瞑っていた目を開いた。
和泉屋はそんな春哉を一瞥すると、空いた手で春哉の後ろを弄りはじめた。菊座はかたく閉じたままだったが、ゆるゆると指を差し入れていくと苦もなくおさまった。やはり慣らされた身体なのだ。
「ちょ……待っ、て……」
指でかき回された後、異物が挿入される感覚があった。指よりは小さい何か。
「即効性の媚薬です。これでもっと気持ちよくなれますよ」
「……やめろっ!!」
後ろでに縛られているため手で押しのけるわけにもいかず、老人とは思えないくらいの力で覆いかぶさられているため身動きが取れない。中に入っていく媚薬の感覚を感じながら絶望感が春哉を包み込んだ。多分この後、この男のものを受け入れさせられるのだろう。
(数馬さん……)
どうせ犯られるなら数馬の顔を思い浮かべて犯られようかと考える。射精感を我慢させられている今、頭の中は混乱して使い物にならなくなっていたが、ふいにそんなことを思いついた。
最後の抵抗。最後にして最大の。